ルボア フィトテラピースクールの礎は、日常生活に根付き、学問としても体系化されたフランスのフィトテラピー。そこには「エルボリストリー」と呼ばれるハーブ専門の薬局があって、フィトテラピスト(植物療法士)がたくさんのハーブの中から1人1人の症状や目的に合ったものを選び、また複数を組み合わせて、より適切で効果的な処方をしてくれるんです。とってもうらやましい環境ですよね。
そんな本場フランスのエルボリストリーの処方せんを知りたい!ということで、「Herbéo/エルベオ」のオーナーであり、パリ第13大学で生薬学の講師を務める薬学博士、フランソワ・プティテさんに、この時季にぴったりの処方箋を教えていただきました。むくみや網目状・蜘蛛の巣状静脈瘤で悩む方は必読です。
「圧迫感と痛みをともなう足首や足の腫れ(むくみ)は、静脈不全の典型的な症状です。男性にも起こりますが、とくに女性に多く見られます。この症状は、血液を正常に心臓に戻すことができなくなることと、そして弾力性と張度を失った静脈壁の劣化が原因です。とくに下肢の血液の停滞により、静脈壁の弾力性が失われ、毛細血管外への血漿の漏出が原因の、静脈瘤や腫れ(むくみ)が起こります。予防と初期の治療に自然療法はとても有効で、フィトテラピーでの処方も幅広く存在します。その代表がヴィンニュ・ルージュ(ヨーロッパブドウ、赤ブドウ〔ヴィニフェラ種〕)で、活性成分の効力が幅広く、静脈に働きかける特性をもったハーブの典型です」。
「ブドウの木のことを知らない国があるでしょうか? さまざまな品種の栽培、環境適応能力、その果実からのワインの醸造。それらがヴィンニュを今日、最も知られている植物の1つにしています。フィトテラピーではとりわけtinctoriaという品種を使用します。秋にその葉は濃い赤色になりますが、それはアントシアニンと呼ばれる色素が関係しています。アントシアニンの濃度が最も濃い葉は、この植物の部位の中でも最も薬効が高い部分となり、ティザンヌ(ハーブティー)または多種の医薬製剤に使用されています」。
学名:Vitis vinifera var tinctori
和名:赤ブドウ
科名:ブドウ科
「マダムAは私の隣人です。彼女はインドレストランを経営していて、調理のほか、接客サービスもしています。夏になると、彼女は調理場で高温にさらされます。また常に立ち仕事で、午後から夜にかけて彼女は小走りで動き回ります。夕食のサービスを終えて帰宅すると、足の腫れ感じ、その痛みが眠りを妨げるのが常だといいます。この状態について話し合い、私は3つのアドバイスを彼女にしました」。
①レモン汁を足した冷たいヴィンニュ・ルージュとウィッチ・ヘーゼルのティザンヌを一日数回飲む。
②夜にマスティック(Pistacia lenticus)とペパーミント(Mentha x piperita)の入った、すーっとするエッセンシャルオイルで足をマッサージする。
③クッションを用い、足を少し高くして寝る。
「これらのアドバイスは、彼女の苦しむ暑い季節をやり過ごすために十分でした。翌年は夏が始まる前からティザンヌを飲むことを提案し、それに加えてマロニエ(Aesculus hippocastanum)のジェモ(新芽のエキス)を基本とする、優れた予防法の併用をすすめたことも書き添えておきます」。
「暑い時期は、とくに静脈疾患の発生が増加します。今月は血液循環を改善し、脚の浮腫を抑え、足首やふくらはぎの重く感じる苦しみを軽減するための、爽やかなドリンクレシピをお伝えします」。
「静脈に働きかける特性をもったハーブ(ヴィンニュ・ルージュ、ウィッチ・ヘーゼル)と、ビタミンC(ローズヒップ、ハイビスカス)を組み合わせました。ビタミンCは静脈に適切に、有効に働きかけるために必須の成分です。また、このティザンヌには強い抗凝固特性をもつハーブは含まれていません」。
【材料】
ヴィンニュ・ルージュ(葉) Vigne rouge, Vitis vinifera tintoria ……… 1
ウィッチ・ヘーゼル(葉と樹皮) Hamamélis, Hamamelis virginiana ……… 1
ローズヒップ(実)Cynorhodons, Rosa canina ……… 2
ハイビスカス(花)Hibiscus, Hibiscus sabdarifa ……… 2
※数字は分量の比率です。
【作り方・飲み方】
大さじ3杯のティザンヌを1リットルの85〜95℃のお湯に入れ、10分間煎じる。
火を止めて濾し、冷蔵庫で冷やすか氷を入れて飲む。
パリ第13大学 フィトテラピー・アロマテラピー科を卒業。パリ第5大学にて薬学博士号を、コレージュ・ド・フランスにて神経科学博士号を取得。パリ病院にてインターン、製薬会社にて主任科学者、最高科学責任者、最高技術責任者を歴任。エルボリステリーHerbéoの創設者でもあり、パリ第13大学 臨床フィトテラピー・ディプロマ・ユニバーシティーでは生薬についての講師を務める。
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